65歳から年金受給中、もしくは65歳に近づいている方や配当金(不労所得)で生活費に足したい方なら
高配当株の個別株か投資信託やETFの購入を検討している方も多いでしょう。
老後の配当金生活の結論は、投資信託のインデックスファンドを購入し、配当金代わりに毎月「定率」で取り崩しながら年金のように使っていくほうが運用効率もよく手間もかかりません。
個別株で高配当株の購入は管理に手間がかかり、リスクも高すぎるので手を出さない。放っておけるインデックスファンドがベスト
個別株(の高配当株)は管理が大変で特に退職者世代や素人にはリスクが高すぎます。
会社の経営状況を毎月調べながら、何か事故や損失があれば銘柄の入れ変えを検討しないといけないため安眠できません。
高配当株を集めた投資信託も、信託報酬率が高くなりがちです。
高配当株を集めた投資信託を仮に1千万円購入しても、良くて年3.8%の配当率でNISA口座で非課税として年間38万円、月3万1千円程度の配当金にしかなりません。
毎月10万円を配当金で得ようとしたら、3,200万円の資産を注ぎ込んで、年間120万円の配当収入となります。
これは非課税での計算なので、3,200万円のうち成長投資枠1,200万円を超える2千万円に対する配当金に対して約20%の所得税が引かれます。
(新NISA枠外分の所得税の計算式)
2,000万円×配当率3.8%×所得税20.315%=15万4,394円
税金が年間約15万円、月1万2,866円が引かれ、配当金の手取りは、月8万7千円となります。
これが新NISAの枠内なら毎月10万円がまるまる得られるので、いかに新NISAの非課税枠の恩恵が大きいか実感できます。
一方は非課税なのに、もう一方で所得税を取られるのは、精神的にも、ものすごく損した気分になります。
実際には、この配当金(8万7千円)と年金(厚生年金を含む夫婦の計約23万円※)を合計すれば少し余裕のある生活ができる計算となります。
※ 令和6年4月分からの年金額等について|日本年金機構 (nenkin.go.jp)
常に20社の経営状況を把握し、最低、四半期ごとには銘柄の入れ替えを検討しながらでないと、いつ その会社が二束三文にならないとも限りません。その手間と心労は投資信託の10倍以上です。
その面、投資信託は基本ほったらかしできますので、安心した生活が送れます。
毎日、基準価格を気にする必要はないですし、気にしないようにすることが運用上も良い結果が生まれます。
株の運用を最も上手に行ったのは、株があることを忘れていた人だっという冗談のような分析結果があると聞きます。
先ほどは、常に経営状態を把握しておかないといけないと書きましたが、配当金を狙うなら、常にその会社の経営が配当金を減らすような経営状態にならないかみておく必要があります。
株価のそのものの値上がりを待つなら、何もせずにほうっておくというのもありでしょうが、特にNISAでの投資信託の運用方法のベストは忘れるくらいに放って置くことに尽きます。
高配当株の投資信託とETFは 配当金が3%~4%未満と非効率
参考までに投資信託とETFの高配当株を集めた商品を例示します。
商品名 | 概要 | 純資産総額 | 購入時手数料 | 信託報酬率 | 配当率 | |
投資信託 | SBI-SBI日本高配当株式(分配)ファンド(年4回決算型) | 高配当株上位30銘柄 1.4.7.10の年4回配当 | 764億円 | 0円 | 0.099% | 3.73%(実績) |
投資信託 | 日経平均高配当利回り株ファンド | 高配当銘柄上位30銘柄 6・12月の年2回配当 | 1,408億円 | 2.20% | 0.693% | 3.8%(予想) |
日本ETF | NEXT FUNDS 日経平均高配当株50指数連動型上場投信 | 日経平均高配当株50指数に連動 1.4.7.10の年4回配当 | 2,725億円 | 0円 | 0.308% | 3.8%(実績) |
米国ETF | バンガード米国高配当株式ETF(VYM) | 普通株で構成されるFTSEハイデ ィビデンド・イールド指数 | 538億ドル | 各証券会社の手数料 | 0.06% | 3.45%(直近利回り) |
米国ETF | SPDRポートフォリオS&P 500高配当株式ETF(SPYD) | S&P500指数のうち配当利回りが高い80銘柄に連動する指数 | 58億ドル | 各証券会社の手数料 | 0.07% | 4.6%(実績) |
高配当株を集めた商品で、日本株なら良くて3.8%、米国株でも5%未満となっています。
配当金がもらえる生活は、楽で良さそうですが、それほど楽な生活が待っているわけでもないことは、先程説明したとおりです。
また、ETFは配当金を基本、自動で再投資することができないので、配当金を使わない場合は自分で再投資する必要があります。(ただし、マネックス証券のみ配当金の再投資買付サービスがあります)
米国ETFは、NISA口座であっても、米国の所得税10%が非課税とならないので、その分の運用が非効率となります。
また、NISA口座の枠いっぱいに購入した後は、配当金をNISA枠に投資できないので、特定口座での運用となり、売却益や配当金に課税されます。
それが、配当金自動再投資型の投資信託なら枠いっぱいまで購入後の配当金はNISA口座の中で自動投資してくれるので、その分の運用効率が上がります。
配当金自動再投資型の投資信託は、通常のオルカンやS&P500など基本的にインデックスファンドは自動的に再投資しています。
では、具体的にどうしたらよいか、次でご説明します。
結局、配当金再投資型インデックスファンドを取り崩して配当金代わりに使うのがベスト
配当金を使う代わりにおすすめの方法は、S&P500などの配当金を出さない自動的に再投資してくれるインデックスファンドに投資し、必要な時期に定率で取り崩していくのがベストです。
S&P500であれば平均8%で運用でき、配当金はファンドの中で自動的に再投資し、新NISAの枠内で運用できれば、取り崩したお金も非課税で受け取れることになります。
仮にS&P500に5年間で毎月30万円投資し、5年後に1,800万円の投資額(NISAの生涯枠)を元金として、5年間運用すると21,883,395円になります。
その資金(2,188万円)を5年間S&P500で8%で運用できれば、5年後には32,148,898円となり、
10年間で元金(1,800万円)の約1.78倍となります。
60歳から65歳まで新NISAに毎月30万円積立し、65歳からほったらかし運用で70歳からも運用しながら取り崩した場合で試算すると、次の③の厳し目の試算でも、年率5%で運用しながら毎月6%の定率で取り崩した場合で試算すると、95歳まで毎月12.5万円取り崩して、2,400万円以上が残る計算になります。
①定額で取り崩した場合
資産3,200万円を8%で運用しながら70歳から定額で毎月10万円を取り崩した場合、26年9カ月(96歳9ヶ月)で資産が0となる計算になります。
上記は一括投資シミュレーション | 投資信託なら三菱UFJアセットマネジメント (mufg.jp)で試算。
②8%運用で定率5%で取り崩した場合
上記の70歳までは同じ条件で運用し、定率で計算するとして
70歳から3,200万円を年率8%で運用しながら5%で取り崩していくと、
隔月で56万円(月28万円)の取り崩し、 95歳時点で資産の残金が6,694万円と逆に増えています。
運用率を下回る率で取り崩すのでそうなるのも当たり前なので、次は辛めに試算します。
③5%運用で定率6%で取り崩し
非課税枠を超える分を所得税が約20%を引かれるとして、
3,200万円を5%(年率8%×約20%税引き後の0.79685%)で運用し、6%で取り崩したとすれば、
隔月で25万円(月12.5万円)で95歳時点で2,467万円が残る計算となります。
上記は人生100年時代の資産設計シミュレーション | 三井住友DSアセットマネジメント (smd-am.co.jp)で試算。
出口戦略(試算を取り崩して使っていくときのやり方)での定率か定額かは、下記を参考にしてください。
定率が長く使えるのですが、現在、定率を設定できるのは楽天証券のみとなっています。
まとめ
配当金の活用方法は、配当金としてもらったものを使うのも気持ちよさそうですが、インデックスファンドで運用しながら定率で取り崩していくほうが、結果的には、資産が長持ちします。
下の表にメリットとデメリットをまとめてみましたのでご参考にしてください。
配当金再投資型のインデックスファンド | 配当金分配型のインデックスファンド | ETFの配当金 | 個別株の配当金 | |
メリット | ・再投資することで配当率を上回る運用率がある | ・配当金を自動的に再投資するので手間がかからない。・配当金を使うことができる | ・配当金を使うことができる。 | ・配当金を使うことができる。 |
デメリット | ・配当金を使えない | ・配当金を再投資する場合は手動 ・NISA口座の上限に達すると配当金に課税される | ・NISA口座の上限に達すると配当金に課税される ・米国ETFはNISA口座でも米国配当時に課税される ・配当率は3~4%程度とインデックスファンドの運用率を下回る | ・配当金を再投資する場合は基本的に手動・配当金を再投資する場合は手動 ・NISA口座の上限に達すると配当金に課税される ・運用のリスクが高すぎ、手間がかかりすぎる ・配当率は3~4%程度とインデックスファンドの運用率を下回る |
総合評価 |