ついに暴落の指標となる「逆イールドが解消」されました。
しかし、長期投資家としては、ここで利益が出ている投資信託を売却して現金化するのではなく、引き続き同じように購入を継続が正解です。
そして、余裕があるなら現金を集めて、暴落時に買い足す準備は進めていきましょう。
逆イールドの解消とは。長期金利と短期金利の差が通常に戻ること。
そもそも「逆イールドとは」からご説明します。
最初に「イールド(yield)」とは利回りのことで、利回りが逆になるということです。
通常、債券の利回りは返済リスクを考えると長期ほど金利は高くなります。
将来の経済や物価が不確実で見通せない分、高い利回りを投資家が要求するからです。
アメリカの債券市場でこの金利が、逆転しているのが「逆イールド」です。
2022年7月以降、10年物の債権より2年物の債権の金利が高い状態が続いていました。
それが今年(2024年)9月に長期債権の金利が高くなり、正常な状態(順イールド)に戻りました。
なぜ、長期金利より短期金利が高いのか。その結果どうなるのか。
そもそもなぜ、長期金利より短期金利が高くなっていたかですが、中央銀行の金融引き締めが理由とされています。
インフレを抑えるために中央銀行が金融を引き締めると、通常は1~3年程度、利上げが続きます。
それを織り込んで債券市場では短期の利回りが上がりやすくなります。
一方、利上げで将来の景気が減速し、いずれは利下げに転じると投資家は予想するため、長期債の利回りは中期債ほどには上がりにくくなります。
その結果、逆イールドが起きるとされています。
では、なぜ逆イールドが景気後退に結びつくのかですが、
銀行にとって短期金利は預金や短期市場を通じた「資金を調達する金利」のことで、
長期金利は銀行が「貸し出す金利」にあたります。
逆イールドが起きれば「調達金利(短期金利)」が「貸出金利(長期金利)」を上回ることになり、通常は儲けるはずの貸し出すほうが利益が減るために銀行は貸し渋ったり、貸出期間を短くするために貸出金を急いで回収したりします。 その結果、景気後退に陥りやすくなるとされています。
逆イールド発生が即、景気後退ではなく、その1年から2年後とされる。
逆イールド即、景気後退となるのではなく、逆イールド発生後1年~2年(平均して1年半)後とされています。
1978年以降、逆イールドの観測期間と米国の景気後退の期間は、
①1978年8月~1980年5月⇒1980年1月~7月(発生後1年3ヶ月、解消前4ヶ月)
②1980年9月~1982年7月⇒1981年7月~1982年11月(発生後10ヶ月、解消前1年)
③1988年12月~1990年3月⇒1990年7月~1991年3月(発生後1年7ヶ月、解消後4ヶ月)
④1998年5月~2000年12月⇒2001年3月~11月(発生後1年10ヶ月、解消後4ヶ月)
⑤2005年12月~2007年6月⇒2007年12月~2009年6月(発生後2年、解消後6ヶ月)
⑥2019年8月⇒2020年2月~4月(発生後6ヶ月) となっています。
(出典:2022年7月27日三井住友DSアセットマネジメントチーフマーケットストラテジスト 市川 雅浩に一部追加)
今回の例でいれば、
2022年7月~2024年9月⇒逆イールド発生後、既に2年2ヶ月経過しています。
しかし、だからといってすぐに暴落が来るわけでもなく、いつとは誰もわかりません。
もし、動画やインスタなどで暴落が直ぐだとか言う人がいれば、何か魂胆があってのことだと一歩引いて観察しましよう。
まとめ
・逆イールドの解消で暴落の日は近い?
(しかし、いつかは誰にもわかりません。暴落を煽る動画やインスタは一歩引いて観察しましょう。)
・しかし、長期投資家は、今までと変わらずにインデックス投資の定期積立を継続する。
・暴落に備えて、余裕資金があれば、NISA口座の成長投資枠で購入する準備を。